安部公房の『砂の女』のプロットの考察

 基本的な流れは、日常生活からの逃避(昆虫採集)→日常生活からの隔離(砂の中へ)→日常へ戻ろうとする試行錯誤(砂穴からの脱出の試み)→日常からの遊離(砂穴への適応)とまとめることができると思います。

 物語の中核となるのは、主人公が砂穴から脱出しようと様々な手段を試みる場面ですが、それはことごとく失敗に終わります。
さらに最終的に砂穴に梯子が下ろされ、いざ脱出可能な状況になると、主人公は脱出しない決断を下してしまいます。
すなわち大きい労力を費やした脱出の試行錯誤の試みは、主人公自らの意思によってまったくの無に帰することになってしまうのです。

 穴の外=現実、穴の中=非現実と捉えるならば、主人公は非現実の中で現実への帰還の道筋を模索するうちに、現実を超える世界への抜け道を見出したと見ることができると思います。
この辺りが、安部公房の作品が超現実系と言われる所以であると思います。

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